熱狂的なファンを生むベルギーのクラフトビールの魅力とは

EVER BREW株式会社 顧問 兼 営業担当 黒田重喜

黒田さんは、業界では知らない者のいない”ベルギービール業界のレジェンド”。30年以上ベルギービールを愛し続ける黒田さんから、ベルギービールの魅力と今後の展望について語ってもらいました。

“ベルギービール業界のレジェンド”の始まりは地道な営業活動から

“ベルギービール業界のレジェンド”と呼ばれる黒田さんがベルギービールと出会ったきっかけは何だったのでしょうか。

1988年頃に伊丹市と姉妹都市であるベルギーのハッセルトから「ベルギーのビールを日本で売って欲しい」という相談があったことがきっかけです。

それまでは大学卒業後に兵庫県伊丹市にある小西酒造という酒造会社に入社し、しばらくの間、日本酒の営業をしていました。

当時はどのくらいベルギービールの知名度があったのでしょうか。

当時は高島屋が”シメイ“というビールを少し扱っていたくらいで、日本ではほとんど馴染みがなかったですね。

新しい文化を広めるような活動をしていたんですね。苦労はありませんでしたか?

もちろんありました。ビール=大手メーカーという時代ですから、最初はなかなか手に取ってもらえませんでしたね。味には自信があっても、まずは飲んでもらわないと話が始まりません。

どのような工夫をされたんでしょうか。

とにかく一度手に取ってもらおうと、当時有楽町にあった西武百貨店地下の有名なお酒売り場で試飲会をして、ベルギービールを体験してもらうPRから始めました。

実際にベルギービールを飲んだお客様の反応はいかがでしたか?

ベルギービールは、日本で一般的なビールのように”のどごし”で味わうのではなく、ワインのように味や香りを楽しみながら飲むので、苦手に感じる方も多かったです。しかし3割くらいの方は美味しいと言ってくれて、ビールともワインとも違う新しい飲み物として受け入れてもらえました。

その後も酒屋さんや飲食店など、いろいろな場所で試飲会を行い、参加してくれた方々から口コミで徐々に認知度が上がっていきました。

地道な営業活動で徐々に知れ渡っていったんですね。

そうですね。日本の一般的なビールのように勝手に売れる商品でもないので、地道に説明していく必要がありました。実際に飲める場所も、店主が直接お客様にビールについて説明しておすすめしてくれるようなお店と相性がいいんですよね。

そうなんですね!

変わったお酒を置くバーや酒屋など、店主が気に入った商品を置いているようなお店へ積極的に営業をかけました。その甲斐もあって、本当に好きなお客様がこだわりのお店に買いに行くようなベルギービール独自のマーケットができてくれたと思います。

菅原社長に口説かれエバーブルーへ入社。営業としての喜びはベルギーのクラフトビールファンとの出会い

そこから定年までベルギービール一筋。エバーブルーへはどのような経緯で入社されたのでしょうか。

小西酒造は36年勤めて定年退職。その後2年ほど嘱託で働いた後BRUSSELS株式会社にお誘いいただきました。ベルギービール業界の元祖ともいえるお店です。その後海外ビールの輸入代理店や代々木のビアレストランで働き、そのビアレストランへ社長の菅原さんがいらっしゃったのがきっかけです。

様々なことがあっての出会いですね! 菅原さんがお店にきたのは偶然だったのでしょうか?

いえ、菅原さんが2004年に六本木でオープンしたエバーブルーの一号店(ベル・オーブ)に、小西酒造時代の私が営業に行っていたんです。そこでお話ししたのを菅原さんが覚えていてくれていて、ビアレストランまで私を勧誘に来てくれました。

菅原社長に誘われて、入社を決めた理由は何だったのでしょうか?

わざわざ私を誘ってくれたというのが嬉しかったのは大きいですよね。ずっとやってきたベルギービールで私を必要としてくれることに感激しました。

また菅原さんがそのときすでに扱っていた変わり種のビールを売って歩く仕事も面白そうだったので、ビアレストランを辞めて働かせてもらうことにしました。

現在の業務について教えてください。

入社して12年、ベルギービールや輸入ビールの営業担当をしています。肩書きは顧問のはずなんですけどね(笑)。この商品は昔から変わらず、面と向かって説明をしないと成り立たない商品なんですよ。

そうなんですね。特に意識されていることはありますか。

とにかく説明して理解してもらう必要がありますので、今も営業先へお話をする機会は大切にしています。最近は直接会いに行きにくいご時世ですが、電話やメールでのコミュニケーションは欠かしていません。

仕事上、大変だと感じるのはどのようなときでしょうか。

ベルギービールは個性的な商品ですので、誰もが興味を持ってくれるわけではありません。また価格は少々高めですので、一般的なビールに比べ気軽さも少ないでしょう。

以前に比べればマーケットは広がってきましたが、まだまだベルギービールを知らないお客様は多いです。少し高めだけど味を楽しめる美味しいビールであるという認知を広げるのが今後の課題ですね。

もっと多くの人に知ってもらいたいですね。

そうですね。一方で、一般的なビールよりも熱狂的なファンが多いのもベルギービールの特徴です。ベルギービールは約800種以上の種類があり、今では日本でもたくさんの種類を楽しむことができます。

ベルギービールのファンが年々増えてきていますよね。

日本の一般的なビールが苦手な人でも、ベルギービールは好き、という人がいるのもベルギービールならでは。そういったベルギービールファンと出会えるのは嬉しいですね。

若く活気あふれる職場。人とのつながりが絶えない企業

12年働いている黒田さんが感じるエバーブルーの魅力とは何でしょうか?

みなさん本当に若いですよね(笑)。活気にあふれるいい会社です。20代30代が中心で、40代の菅原さんより年上の人は少ないです。私自身若々しくさせてもらっているのは、エネルギーをくれるみなさんのおかげだと思っていますよ。

黒田さんからは本当に若々しいエネルギーを感じます!

あとはみなさん仲がいいですね。エバーブルーのお店で働くスタッフ同士はもちろん、エバーブルーという会社と各個人の仲もいいと思います。これは退職した後も変わらなくて。独立して自分のお店を出した元スタッフから「エバーブルーのビールをお店で出したい」とよく相談されますね。

独立してからもつながりが続くのは素敵ですよね。

また、百貨店に就職した元アルバイトの子がビール売り場の担当になり、エバーブルーのビールを仕入れてくれたというケースもあります。エバーブルーで働いた人同士がネットワークを作れる文化も、エバーブルーの良さだと思います。

仲のいい雰囲気がとてもよく伝わってきます。そんなエバーブルーで、黒田さんが今後取り組んでいきたいテーマは何でしょうか?

エバーブルーが千葉県柏市の「リオ・ブルーイング・コー」で醸造している、自社ブランドのクラフトビールを広めていくことです。ベルギービールのマーケットはだいぶ広がってはきていますが、その一方で原材料の価格や輸入コストが上がってきているため、輸入に依存したビジネスは厳しくなっていくと思っています。

ですので、国内醸造の自社ブランドを持っているという強みを活かし、輸入物に負けない品質のクラフトビールで勝負していきたいですね。評判いいんですよ、うちのビール。社長も力を入れていきたいと考えているので、一緒に頑張っていきたいと思います。

最後に、黒田さんが考えるエバーブルーで活躍できる人の人物像を教えてください。

自分たちが扱う商品やサービスに熱心な人がいいですね。私たちが扱う商品は、情熱をもってお客様に説明して、はじめて理解していただけます。また、お客様側も詳しい方が増えてきていますので、生半可な姿勢では負けちゃうんですよね。

そうですよね。

情熱を持って学び、商品の素晴らしさを伝えたいと思ってくれる人にとっては楽しい仕事だと思いますし、私もそういう方と一緒に働きたいと思っています。これから学びたい方も”ビールオタク”もどちらも大歓迎ですよ。

黒田さんのベルギービール愛を堪能できました。ありがとうございました!